大判例

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和歌山家庭裁判所 事件番号不詳 決定

少年 K(昭一八・八・二三生)

主文

少年を中等少年院に送致する。

理由

一、非行事実

少年はM(当一七年)、H(当一五年)外三名(いづれも当一七年)と共謀の上昭和三十六年四月一日午後七時三〇分頃和歌山県那賀郡○○町所在○○遊園附近山道において帰宅途中のY子(当二〇年)を認め同女を追いかけて同町大字○○通称○ケ沢の道路上で追いつくや同女を強いて姦淫しようと企て突如同女の背後より抱きつき路上に突倒し顔面等を殴打しそのズロースを引きちぎつて脱がし、更に四、五米東方の竹林の中へ連れ込んでその場に押し倒し交々その手足を押えつけその反抗を抑圧した上先づMにおいて同女の上に乗りかかり強いて姦淫を遂げた上T、F、Uの順に次々に乗りかかり更に途中でその場に呼び寄せたNとも共謀の上引続きH、N、K、再度Mの順に同女の上に乗りかかり強いて同女を姦淫しようとしたが、この内、T、F、U、N等において性交経験がなく、他の者にせかされたりして陰茎を同女の陰部に没入させるに至らず目的を遂げなかつたが、その他の者において順次姦淫したものである。

二、適用すべき法令

刑法第一七七条前段、第六〇条

三、上記処遇理由

(1)  本件非行は少年等が飲酒の上帰宅途中の婦女を襲い多人数で暴力を振つて共同してその反抗を押えて姦淫し又は姦淫を遂げようとしたもので、その態様においても悪質であり、被害者は未婚の良家の処女であつて与えた精神的打撃も相当深刻であり、被害者及びその家族の心情は無視出来ないものがあり非行も重大と考えられたので、本件共犯者中当初から積極的に実行行為に参加した少年を含めた五名を刑事処分相当として検察官に送致したが、刑事裁判所において事実審理の結果主謀者であるMを除き少年を含めた四名が保護処分相当として家庭裁判所に移送されたものであること。

(2)  少年は幼時父と死別し、実母と祖父母に育てられ盲愛されたためか、鑑別によると知能は概して普通で、性格は明朗で屈託がなく外向的で対人関係も円満であるが、自主性に乏しく附和雷同的で依頼心が強く、人の言動に左右され易い欠点があること。

(3)  家庭環境は欠損家庭であるが、中流農家で格別問題点はないようであること。

(4)  本件非行において少年は上記性格の欠点により主謀者等の言動に影響を受け集団心理に支配されて追従したものとみられるが、Mが最初に姦淫するに当り被害者の足を抑え又は殴打する等の暴行を加えてこれを助け、自らも他の共犯者に引き続き被害者に乗りかかつて姦淫を遂げようとして居り、而もその後学校で友人と本件非行について平然と話し合う等行為当時罪悪感に乏しく類を呼べば非行の危険性が認められること。

等の諸点と本件移送決定の趣旨も考慮した上矯正教育のため収容保護する要があると認め、尚刑事裁判所の未決勾留期間も含め相当期間反省の機会もあつた点や少年の資質、家庭環境を考えた上短期矯正教育をする中等少年院に送致するのが適当と認め少年法第二四条第一項第三号、少年審判規則第三七条第二項、少年院法第二条により主文の通り決定する。

(裁判官 八木直道)

別紙(地裁の決定)

強姦被告事件(和歌山地裁 昭三六・七・二一決定)

被告人 少年K(昭一八・八・二三生)

少年F(昭一九・三・八生)

少年U(昭一八・七・三生)

少年T(昭一八・一一・二一生)

主文

本件を和歌山家庭裁判所に移送する。

理由

本件公訴事実は被告人四名はM外三名と共謀の上、昭和三十六年四月一日午後七時半頃和歌山県那賀郡○○町所在○○遊園において帰宅途中のY子(当二〇年)を認めて、同女を強姦しようと決意し、同女を路上に突倒し、殴りつけ、そのズロースを引きちぎつて、附近の竹林内に連れ込んで、その場に押し倒し、交々その両手足を押さえつけ、服を頭にかぶせる等してその抵抗を抑圧した上、順次同女を輪姦し、以て数人現場において共同して婦女を姦淫したものであるというのであつて、本件で取調べた各証拠を綜合すると右事実はこれを認めることができる。

而して右被害者Y子は県立高等学校を卒業後事務員として和歌山市内の会社に通勤する未婚の女性であり、勤務先より帰宅の途中本件の災厄に遇つたもので、心なき被告人等の情欲の犠性となり、女性の最も大切な貞操を蹂躙され、よつて受けた被害者本人並びにその家族の深刻な苦痛は察するに余りあるものがあり、かかる忌わしき犯罪より社会を防衛し、世の婦女を保護する必要を痛感するものであり、既に共犯者Mに対しては懲役二年以上三年以下の実刑を科したのであるが、右Mもさることながら被告人等の年令は犯行時いずれも十七才で余りにも若いこと、被告人等は本件の主謀者とは認められぬこと、被害者の被害感情を考慮するときは刑の執行猶予も付し難いことその他諸般の情状を考えるときは被告人等に対しては少年法所定の収容保護処分に付するのが相当であると認め、同法第五五条の規定によつて本件を和歌山家庭裁判所へ移送することとする。

よつて主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 中田勝三 裁判官 尾鼻輝次 裁判官 大西浅雄)

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